こんにちは、守銭道(@shusendo_info)です。
今回は「確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)」について、分かりやすく解説します。
名前は漢字だけですし、名前からどういう内容か分からないですよね?
実はさらに正しく書くと、企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金となり、さらに長くなるんです(笑)


ただ、最近は個人型確定拠出年金を「iDeCo(イデコ)」と呼び、テレビCMやWeb広告等で目にする機会も増えてきました。
皆さんも「確定拠出年金について詳しく知りたい」や「友達がイデコを始めたらしく、税金面でも得みたいだけど詳しいことは分からない」等の理由で本記事を見に来てくれていると思います。
本記事では、確定拠出年金の概要やメリット/デメリット、誰がどの確定拠出年金を利用できるのか、オススメの始め方等をお伝えします。
目次
確定拠出年金とは?
まず、確定拠出年金について簡単に説明します。概要とメリット/デメリットを解説するので、理解した上で利用しましょう。
概要
確定拠出年金は「年金」という文字が入っているので、「公的年金(国民年金や厚生年金)と似たようなもの?」と思われるかも知れません。
しかし、内容は全く違うものです。公的年金は国が管轄し、日本年金機構が運営しています。
公的年金は「高齢者を労働者が支える」構造であり、課題としては少子高齢化に伴う労働者側の負担増や支給額の減額があります。
しかし、確定拠出年金は「企業や個人が毎月一定額を拠出&運用し、60歳以降に個人が受け取る」構造です。
全体で集約する公的年金とは根本的に構造が異なります。
なので、少子高齢化や未納者等の影響は受けず、個人(または企業)が頑張った分だけ、将来受け取れるお金が増えます。


ただ【受け取れるのは60歳以降】なので、目的は老後資金にしか使えません。
教育費や住宅購入資金には使えないので、その場合は↓の記事にも書いた「つみたてNISA」を活用しましょう。
メリット
確定拠出年金のメリットは税制優遇(節税)されることです、大きく分けると3つの税制優遇が受けられます。
それぞれ分けて説明します。
【掛け金が所得控除される】
確定拠出年金の最大のメリットは確定拠出年金の掛け金分が所得控除されることです。
通常所得税等は働いて得られた所得に対して課税されます。
しかし、確定拠出年金の掛け金分は所得には入らず、所得から掛け金を引いた額に対して課税されるということです。
つまり、未来の自分のためにお金を貯めるだけで、現在支払う税金が安くなる、こんなおいしい制度を使わないのはもったいないですよね。
ただ、あくまでも働いた分の所得控除なので、専業主婦等の所得税を支払っていない人は所得控除のメリットは受けられません。
また、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金では、所得控除される対象が異なり、以下の違いがあります。
マッチング拠出については、企業型確定拠出年金の章で詳しく説明します。
- 企業型確定拠出年金:企業が拠出する分は所得控除の対象外。マッチング拠出で個人が拠出した分のみ所得控除の対象となる。
- 個人型確定拠出年金:全て個人が拠出するため、全額が所得控除の対象となる。
【運用益が非課税】
続いてのメリットは運用益が非課税になることです。
確定拠出年金では拠出したお金を使って投資信託や定期預金等でお金を増やします。
通常、投資信託等でお金が増えた場合、増えた分(運用益)に対して課税されます。
しかし、確定拠出年金で増えたお金は課税されないので、効率的に資産を増やすことができます。
そもそも投資信託が分からない人は↓の記事を読んでください。
このメリットは専業主婦でも得られますが、運用益が非課税になる制度はNISA(ニーサ)も同じなので、専業主婦の方で老後資金以外を貯めたい場合は↓の記事を読んで、まずはNISAやつみたてNISAを検討することをオススメします。
【受け取り時も控除される】
最後のメリットは受け取り時にも控除を受けることができるんです。
受け取る方法は2つから選べて、それぞれ受けられる控除が異なります。
受け取る方法は「年金で受け取る」「一時金で受け取る」から選べます。
それぞれのメリットを簡単に説明します。
- 年金で受け取る場合:その他の公的年金(国民年金や厚生年金)と合算して公的年金等控除が受けられる。
- 一時金で受け取る場合:退職時に受け取ることで、退職金と合算して退職所得控除が受けられる。
デメリット
メリットばかり説明してきましたが、デメリットもあります。
老後資金が目的の仕組みなので、60歳になるまでは引き出せません。
また、確定拠出年金を利用するためには、毎月手数料が必要になります。
例えば、少額しか拠出しない場合はこの手数料がネックになり、資産が増えないこともあります。
また、定期預金等の増加率が低い商品を買う場合も、増加率よりも手数料の高くなってしまう場合もあります。
ただ、老後資金作りが目的なので引き出せないことが有利に働くこともあるでしょうし、毎月の手数料は安いネット証券を選ぶことで可能な限りリスクを減らせます。
大切なのは【無理のない範囲で拠出する】【事前に手数料を確認し、増加率を計算する】ことです。
企業型と個人型がある
これまでも何度か書きましたが、確定拠出年金には企業型と個人型の2つがあります。
それぞれ、利用できる人が異なりますし、毎月拠出できる上限額も異なります。
この章では、利用できる対象者や企業型と個人型の詳しい説明、注意点等を説明します。
利用できる対象者
利用できる対象者を言葉で説明するのは難しいので図にしました。
一番左上の質問から答えていくと、自分がどの確定拠出年金を利用できるか分かります。
見ていただくと分かるように、サラリーマンの中には個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用できない人もいます。
実は我が家(夫側)も企業型確定拠出年金+マッチング拠出があるので、iDeCoは利用できません。
また、企業型確定拠出年金とiDeCoを利用できる人、iDeCoを利用できる人も職業等によって拠出上限額が変わることが分かります。
国が税制優遇をしてまで確定拠出年金を推進している理由は、将来公的年金が減額された時の救済策になるからです。
そのため、国民年金しか支給されない自営業の方を最も手厚くしています。
ですので、自営業の人は利用しないと損ですね。
企業型確定拠出年金
企業型確定拠出年金について説明します。
ですが、企業型確定拠出年金を利用できる人は、既に会社から説明を受けて利用が始まっています。
特に社員側に選択権はなく、対象となる社員に対して会社が毎月拠出しています。
退職金の代わりに企業型確定拠出年金をはじめる会社が多いみたいですね。
企業型確定拠出年金の場合は、社員は会社から指定された運用会社でのみ運用できます。
その運用会社で購入できる投資信託や保険、定期預金等を毎月購入します。
もし「自分は企業型確定拠出年金だけど、特に商品を選んだ覚えがない」という方がいたら、今すぐ見直しましょう。
適当な商品が選ばれてマイナスになっている可能性もあります。
企業型確定拠出年金にはもう1つ「マッチング拠出」という制度があります。
これは、会社が拠出する額に加えて、個人も追加で拠出できる制度です。
このマッチング拠出がある場合は、iDeCoは使えなくなりますが、マッチング拠出分は所得控除の恩恵が受けられます。
しかし、マッチング拠出は設定しないと0円のままだったりするので、まだ設定していない人は今すぐ所得控除の恩恵を受けましょう。
マッチング拠出は条件もあり、会社側の拠出額以上は設定できず、また企業型確定拠出年金の上限を超える設定はできません。
この上限は会社によって異なるので一度確認しましょう。
最後に企業型確定拠出年金の地味なメリットとしては、自分の会社が潰れても企業型確定拠出年金は無事です(笑)
退職金のように会社と一緒に消えたり、訴訟で揉めることはないです。
ただ、次の会社が企業型確定拠出年金をしていれば移行、していなければiDeCoに移行等の手続きは必要です。
個人型確定拠出年金(iDeCo[イデコ])
個人型確定拠出年金(以降、iDeCo)について説明します。
iDeCoは企業型とは違い、自分で手続きしなければ始まりません。
そのため、開始が遅ければ遅いほど税制優遇を受けられず損している状態です。
掛け金全額が所得控除される素敵な仕組みなので是非とも活用しましょう。
iDeCoは証券会社や銀行等で口座を開設することで始められます。
ただし、実店舗を持つ証券会社や銀行でiDeCoを始めることはオススメしません。
詳しくは次章以降で説明しますが、iDeCoは長期間運用することが前提なので、毎月の手数料が高いと資産の増加率に大きく影響します。
資産を増やすために、手数料の安い口座で始めましょう。
iDeCoはネット証券ではじめよう
結論から書くと、iDeCoはネット証券ではじめましょう。
大手証券会社や銀行と比べると、選べる商品に遜色がないのに、手数料が圧倒的に安いです。
iDeCoに必要な各種手数料は次章で説明します。
iDeCoの手数料
iDeCoの運用時に必要な手数料としては、口座開設時の「加入時手数料」と運用期間中ずっと支払う「口座管理手数料」が必要になります。
それぞれの詳しい説明は各章で説明します。
【加入時手数料】
加入時手数料は最初だけ支払う手数料です。
これはどの証券会社や銀行で開設しても同額で2,572円(税抜き)です。
1回だけの手数料で、どこを選んでも同じなので必要になるということだけ覚えておきましょう。
【口座管理手数料】
口座管理手数料は毎年(毎月)支払う手数料で、さらに3つに分かれます。
その内2つは加入時手数料と同じく、どの証券会社や銀行で開設しても同額です。
ただし、運営管理手数料は金融機関によって異なります。
ここが重要なポイントで、ネット証券をオススメする最大の理由です。
3つの口座管理手数料は下記の通りで、年額の価格になります。
- 事務手数料:1,152円(税抜き)[支払先:国民年金基金連合会]
- 資産管理手数料:720円(税抜き)[支払先:信託銀行]
- 運営管理手数料:金融機関によって異なる[支払先:運営管理機関]
この運営管理手数料は月額500円近く必要な金融機関もあれば、0円(無料)の金融機関もあります。
年額にすると6,000円近くも変わってきます。
例えば、毎月12,000円のiDeCoの場合、年間144,000円の拠出額に対して6,000円だと、運営管理手数料だけで4%以上も取られることになります。
これではお金を増やしているのか、減らしているのか分からなくなります。
ネット証券をオススメする理由
私がネット証券でiDeCoをオススメする理由はシンプルで、運営管理手数料が無料だからです。
前章でも書きましたが、運営管理手数料だけで4%も資産を減らすのはありえない話です。
以下2つのネット証券会社であれば、どちらも運営管理手数料が0円で、かつ品数も豊富なのでオススメです。
また、上記2つの証券会社はネット銀行(ネットバンク)も同系列で持っており、連携させることでさらに便利に使えます。
詳しくは↓の記事を参考にしてください。
その他
マネーフォワードで資産管理
確定拠出年金は運営会社によってはマネーフォワードに登録して管理できます。
我が家が使っている企業型確定拠出年金はJIS&Tで、マネーフォワードにも登録できるので定期的にアプリ上で資産状況を把握しています。
記事執筆時点(2018年8月17日)でマネーフォワードを確認すると、JIS&Tの他にもSBIやダイワ、野村證券、みちのく銀行等が対応しています。
マネーフォワードについて詳しく知りたい場合は↓の記事を読んで下さい。